大学生や若手家庭教師の方向けTips集part1~指導開始時に考えること~

家庭教師
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こんにちは、あぶどぅるです。

先日の記事(下記リンク参照)で、「経験浅目の家庭教師の人(学生や副業でと考えてる人含む)のお手伝いもしたいなー」と書いたのですが。

(参考:「指導開始時どんなヒアリングしますか?」という問いから考えて

それについてSNSで友人や他の先生とお話したりした中で「もう家庭教師センターやっちゃえば」とか、「家庭教師プロデューサーとかで良くね?」「いやその名称は胡散臭いなw」みたいな話が出たりしました。

現実として現在、家庭教師はコンサルのように個々の力量に依存するものであるのにも関わらず、コンサルファームのように徒弟制度が確立されておらず、「独学&経験で学ぶ」みたいな状態になってるのかなと思います。指導者(家庭教師本人ではなく、家庭教師の仕方を教える指導者)も特にいないまま「とりあえず習うより慣れろ。やってみろ」的な。

もちろん、いきなり個人で動ける人や、自分でPDCA回してやり方改善していける人はいいのですが、皆がそういうわけでは無く、人材育成的な意味では損をしている業界でもあるのかな・・・と思ったりもして。そこに少しでも何か工夫できればと、そんな風に考えています。

具体的にはこれから練らなければいけないのですが、実現に向けて動いていければなーと思います。もちろん、自分の教え子の指導をしっかりやりつつですが・・・。

学生/副業の方向け「はじめての家庭教師」的なTips集を

さて、本題。それに関連して。

家庭教師をするにあたって、指導開始時のハードルが特に大きいのかなと考えています。会社のプロジェクトとかでも、キックオフ時が一番大変なのと同じかなと。キックオフミーティングやって、タスクが具体的になり、定例会がちゃんと噛み合って回り出す・・・くらいまでいけば、少し楽になるのと同じイメージですね。特に、個人契約中心でやっていきたいと考えられている方は自分で全てそのへんの仕切りやリードをしなければいけないため、必須の能力かと思います(まぁセンター経由とかでも、そこを実際にサポートしてくれるところはあまり見たことないですが・・・)

というわけで、良い機会なので、指導開始時に学科の内容面「以外」について私が考えていること、進め方で気を付けていることなどを簡単にまとめてみようかと思いました。

指導される先生のスタイルによって指導の進め方は異なると思いますし、決して「こうしなきゃいけない」という類のものではありません。あくまで「こういうやり方もあるよ」という一例として、これから家庭教師や個別指導を始める大学生の方、また副業などで家庭教師をご検討の方の参考になれば幸いに思います。

概ね「指導者側」視点の内容になるかとは思いますが、ご家庭が指導を依頼される場合も参考になるかとは思いますので、その意味でも参考になればと思います。

なるべく大枠から状況確認を行う

最初の打ち合わせ時、私はなるべく個別論より先に、大枠から状況を把握するようにしています。
例えば、以下のような形ですね。
 

  1. なぜ受験をするか
  2. 目標としているものは何か
  3. そのための中間目標は何か
  4. そのためになぜ家庭教師が必要な状況か
  5. どんな学習が必要か
  6. その中で、家庭教師がどんな指導をするか

これらは全てヒアリングするというわけではなく、5、6などは指導者側から提案するものですね。全体として「一方的にヒアリング」というよりはあくまで「双方で認識合わせをしていく」という表現の方が適切かもしれませんね。

少し個別に見ていきましょう。

受験に関するご家庭の考えをヒアリングする

上記1.ですね。もう少し具体的に書くと「受験自体についての考え方。学習というものについての考え方」という感じですね。

もしかしたら「そこまで遡って確認する必要ある?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ただ意外にこれ、具体的なオペレーションや指導内容に関わってくるんですよね。

例えば、「勉強しない」「言ったことやらない」等、内容以外の面での問題が発生した時(発生した時と書きましたが、結構高確率で発生するイメージです)にどうコミュニケーションを取るか。「本人がやらなきゃそれまで」と割り切るのか、「小学校の間はガミガミ言うのも仕方ない」と多少手取り足取りでも進めるのか。

このようなことを決定するのに、その前提となる考え方が必要となります。
「習い事とのバランスどうしよう」とご家庭に相談された時も、「どこまで受験にリソースを費やすか」という話にはなるでしょう。また、「大学というものはこういう意義がある」等の考えは「どの志望校を検討する上で何を重視するのか(就職?サークル?資格?)」にも大きな影響を及ぼします。

よく自己啓発本とかに書かれてる「隠れたニーズを」的なのと似たようなイメージですね。最初に聞いた「志望校と学部はこれです」だけではなくその根底にある考えが掴めれば、「教え子にとって一番良い選択は何か」という一段上の幅広な議論ができるのかなと思います。

実際に聞く際の聞き方としては「どうお考えですか?」とオープンクエスチョンで丸投げではなく

「高校受験じゃなく中学受験であるメリットってどのようにお考えですか?なるほど。では例えば、明確な目標があってその学校に行くかさもなくば公立に行くかの二択である、とか。もしくは、第一志望群の学校が幾つかあったりしますか?」

といった感じで、色々な方向から選択肢例を提示しつつ対話すると、ご家庭も言語化しやすいかと思います。

いずれにしても、以前記事で書いたように「その確認事項が指導内容にどう影響するか」を考えながらヒアリングを行うことが「うわべだけでない、地に足のついた」指導をするポイントなのかなと思います。逆に言うと、幾つかの項目は指導しながら「あー、この確認が必要だったな。次からは最初に確認するようにしよう」という形で指導者側も学んでいけばいいのかなと思っています。

ちなみに。
最初はイメージしづらい部分もあるのですが、指導していくうちに「あれ、こそもそもの考えを確認する必要あるな?」みたいなのはどうしても出てくるんですよね。そんな時は、「すみません。そもそもで恐縮なんですが、ちょっと確認させて頂いて良いですか?」って親御様と確認の場を設ければ良いと思います。

率直に、素直に、質問の意図も伝えつつご相談すれば、決して信用を失う結果にはならないと思います。

志望校やそれに至るまでの中目標を確認する

少し、具体的な話に。前述の

 2. 志望校や、志望校群
 3. 塾のクラス目標だったり、偏差値だったりの大目標のために達成必要な中目標

の部分ですね。

2.の志望校や志望校群(偏差値帯や、学校の選定基準など)については、割と一般的ですし、事前に情報が伝えられる場合も多いかとは思います。ご家庭によってその決定度合いも時期も異なりますので、単に「どこの学校か」というよりは、「今の時点でどんな粒度まで決まっているか」から確認するのが良いかと思います。

3.については、具体的な志望校が決まっていない場合などは特に重要となるポイントかと思います。どうしても、半年~数年後の合格だけをモチベーションに皆頑張れるわけではありませんからね。順位やクラス、学校別コースへの認定など一定の期間ごとの中目標はご家庭も考えてらっしゃる場合は多いですし、無ければ目安だけでも定めた方が良いかとは思います。

その前提として、その子の通われている塾のテスト種別やクラス昇降システム、コースなども理解しておく必要があります。制度面のみではなく「この塾に通ってる子はこのテストでモチベーションを上げたり下げたりする」といった慣習や空気など定性的な部分まで認識できるようになると、より教え子のメンタルも理解できるようになりますね。サピや四谷、早稲アカ、日能研など大手であればまずはネットリサーチ、知り合いの教育業界の人に聞くというのも有効だと思います。

個別塾やそのエリアで人数が多くない塾などですと、情報が少ない場合もありますのでその時は素直に質問するのが一番かと思います。「こちらの塾の子を教えるのは初めてですが」と断りつつ適切なヒアリングをすることは、知ったかぶりをするよりも信用を得られるかと考えます(私自身もよく質問します)。
最低限のネットリサーチはして「ホームページでここまではわかったのですが」と伝えれば、より効率的にヒアリングもできますね。

「情報をもらう」と考えず「一緒に明確化する」と考えよう

最後に余談ですが。

これは当然っちゃ当然なのですが、上記のような内容が整理されててご家庭からスラスラと出てくるとは限りません。むしろ稀です。ご家庭から情報を引き出し、言語化し、明確化し、その上で提案するもの。一緒に作り上げるというイメージの方が近いと思います。

ですので、逆にご家庭側も「こういうのをまとめておかなきゃ」「これが言えないと依頼できない」と思う必要は一切ありません。「どちら側がこうしなきゃいけない」というわけでもなく。ご家庭・指導者の協力の末、最終的に指導に必要な方針が明確化できればいいのかなと思っています。

ただし、かといって家庭教師が「頼りない」のは当然ご家庭も不安になります。
指導者側がその議論をリード、ファシリテートする力は持っておくのが良いかとは思います。

「自分は全てわかっていて何でもできる」と虚勢を張る必要はなく、
けれど「俺が何とかするんだ」と頭はフル回転

「なんでもは知らないわよ。知ってることだけ。」
「だから協力して一緒に考えましょう」というスタンスで

というのが、自分の今のところのやり方で、一応それなりに楽しんで続けてはいられています。

繰り返しますが、先生各々にやり方があり、どれが正しいというものでもありませんので「こうするのが必ず良いよ」というものはありません。まぁ「そういうのもあるのか」と一つのサンプルと捉えて頂ければ幸いです。

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といったところで、一旦本日はここで切ろうかと。

1記事にまとめようかと思いましたが、結構長くなってきてしまって・・・。

後半は上記を踏まえた、具体的な提案部分

 ・現状の課題は何かを確認する
 ・「なぜ家庭教師を雇うのか」を確認する
 ・「指導時に何をするか」からではなく「週全体の学習スケジュール」をまず描く
 ・その上で、具体的なオペレーションに落とし込む

といったところについて、書いていければなーと思っています。
次記事:大学生や若手家庭教師の方向けTips集 part2~課題認識を確認しよう~

最後までご覧頂き、ありがとうございました!

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