中学受験での「ケアレスミス(と言いたくなる誤答)」をどう改善していくかpart4~回避も発見も~

家庭教師
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こんにちは、あぶどぅるです。

学校の方もだんだん分散登校ではなくフル登校になったり、時間も長くなってくる子も増えてきましたね。

私の指導の方も、対面に戻したり、指導自体がストップしていた子の指導を再開したりと、また少し動きが活発になってきました。全員という訳ではなく、「オンライン→対面に戻す子」「オンラインのまま続行の子」「週に2回の子で片方は対面、片方はオンライン」などご家庭ごとに指導バリエーションが多様になっている状況です。

オンライン指導・対面指導とも、長所・短所はありますので、子の特性や学年・季節、内容に応じて使い分けていければいいですね。

参考:zoomでオンライン家庭教師してみて感じたメリット/デメリット

中学受験での『ケアレスミス』『計算ミス』種類と対処

さて、本題。引き続き、受験生で良くある悩み「ケアレスミスが多い、本当はできたはずの問題なのに」というテーマ。今回でラストです。

本テーマの最初の記事:中学受験での「ケアレスミス(と言いたくなる誤答)」をどう改善していくかpart1~仕組みによるもの~

「ケアレスミス」と言いたくなる間違いの分類(続き)

再掲になりますが、「ミス」と言われる誤答について、私は大きく以下のように分類・対処の検討を行っています。

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①オペレーション(記述方法ややり方)の理解不足が元で起こっているタイプ
②テストの際に①を実行できていないタイプ
③子が「正解率を上げる」こと以外を優先してしまっているタイプ
④緊張等の理由で、テスト中に練習したことが全て吹っ飛んでいるタイプ

●数字に対する「慣れ」が足りていなく、間違った際の認知機構が弱いタイプ
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前回までに、①~④のケースについてお話致しました。

今回は最後、この分類とはちょっと別枠の「●間違いに関する認知機構が弱いタイプ」についてお話致します。

間違いに関する認知機構が弱い場合

「答えを見たときに普段との違いから何か違和感を感じる」力という風に私は捉えています。論理というよりは、過去の経験から帰納的に感じる違和感とでもいいましょうか。東京の街中を歩いていてペンギンとすれ違ったら、「気温を考えると東京にペンギンがいるはずがない」とかの理屈以前に、とりあえず二度見しますよね。

算数で言うのであれば。例えば、整数同士の掛け算で「97」とでたら、「素数だよね」という論理の一瞬前に「・・・ん?ほんと?」という感覚が先に来る。そんな感じです。

「違和感を感じる力」は計算や演習量によって身につく

この能力は、純粋に練習量によって身につくと考えています。それも、正誤を問わず雑にこなした数ではなく、「正しい結果を出した数」が必要となります。

「覚える」というのとも少し異なると考えています。明示的に「3.14×〇」や「三角数」を単語のように丸覚えしようというイメージではなく。ただ、「3.14×●をしたら200.99になった」「1から●まで足したら58になった」とみると「それ、200.96じゃない?」「55の間違いじゃないか?」と言える経験則という感じですね。

お医者さんがレントゲンを見る能力を養う時に「健康な人のレントゲンを何百、何千とみる」というトレーニングがあるらしいです。そうすると、不健康な人のレントゲンを見たときに違和感を感じられるようになる、と。それに近いと思います。

入試問題は基本的には一期一会で、「覚える」ことより「その場で考えて解く」力が必要なのは間違いないと考えています。ただ、一定以上の子はこのような職人技にも近い察知スキルを持っていることも事実であり、安定度を上げる上では必要なのかなと考えています。

ただ雑に数をこなすだけで身に付くものではありませんので、「正しいやり方で」「それで合ってるかなと慎重に確認しながら」練習を積むことで、身に付けていければ良いですね。

算数における検算のコツ例

さて、最後に。本筋とはちょっと外れますが、検算のコツをいくつかTips的に。

最初にやったやり方と別のやり方で解く

最初に面積図を使ったら、検算はてんびんで。場合の数で、最初に計算でやったなら検算は数え上げで。てこなら、最初モーメントのつり合いで解いたのであれば、敢えて検算は比を使って。最初、選択肢一点読みなら、確認は消去法で(これは最初から両方やってほしいですが・・・)といった感じですね。

全く同じやり方でやると、検算時も同じ間違いをする危険性はありますので、そのリスク回避ですね。当然、時間はかかりますので、時間配分と相談しつつではありますが・・・。

概算で確認を行う

「413×3.14」とかだったら「とりあえず、1200ちょっとやろ」という感じですね。小数点や0の個数間違いなどで特に有効だったりします。小数点以下や一番上の位以外は捨てて、「だいたい幾らくらいになるかな」と事前に考えると、間違えた時に気付きやすくなります。

この習慣がつくと「●×〇=◎・・・いや、違う。ありえないでしょ。」と自分で間違いに気付くことも増えてきます。

良かったら試してみてくださいね!

得点ロスは「ミスの頻度」と「セルフチェックできる数」で決まる

さて、4回に渡ってお送りしたシリーズ「ミスという名の誤答」これにて終了となります。最後にまとめを。

「最初からミスをしない能力」と「自分でミスに気付いて修正する能力」は別だと考えています。会社で言うなら「ある人がエクセルで自動化することで目視チェックミスをなくす」ことと「複数の部署や上司によるダブルチェック体制」のようなもので。

ミスが多くても、●が優れていればある程度は自分で拾えますし、逆にミスは少なくても、●が弱ければ(答えが出た瞬間に解答欄に書き込む子など)起こしたミスが全て結果に反映されてしまいます。つまり、「①~④の発生頻度」と「●のチェック機構の稼働率」の合わせ技で、最終的な精度が決まると考えています。

そのような理由で、「いかにミスをなくすか」という①~④と、今回の「ミスを修正する力」は別枠にしました。「①~④のどのタイプのミスが多いか分析しつつ改善、合わせて●のチェック能力も鍛えていきましょう」ということですね。

私が指導中、解いているのを見ていて計算間違いをしているのを発見した時は「間違っている箇所の次の行を書き終えた」くらいで指摘するようにしています。もしくは、後で検算できるタイプの問題であればもう少しそのまま様子を見る場合もあります。一度間違っても、自分で最後の答えを書くまでに気づいて戻れればセーフ、なんですよね。

「ミス」という名の誤答。特にまだ幼い中学受験においては得点力を大きく左右します。前回も書きましたように、その要因が本人の性格や習慣に近ければ近いほど、改善には時間を要します。またセルフチェックなどについては、最初から当たり前にやってれば良いのですが、「途中からやり方を変える」となるとストレスもかかることとなります(まぁこれはミスとかに限らず勉強習慣でも、なんでもですが)。

可能な限り早いうちから、個別の学習内容と合わせて「本人が本番で100%を発揮できる力」を養ってあげるのが良いかなと考えます。

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といったところで、本日はここまで。

4回に渡ってお話しました「ケアレスミスと言われる誤答」最後までご覧いただきありがとうございました。フェイスブックの方でシェア頂いたり、2件ほどメールにてご相談頂いたりと、反応頂けて嬉しかったです。ありがとうございます!

次回はWebラジオで話した「今年の夏期講習で気を付けてほしいポイント」の補足記事を書こうかなーと考えています。

では。最後までご覧頂き、ありがとうございました!

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